ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス、企業統治)の頭文字をとった言葉だ。これらに配慮することは、直接的には利益を生まない。しかし、間接的には企業価値を高め、利益につながる可能性がある。投資意思決定にもESG要素を取り入れる投資家が増えている。
tyrol-69661_960_720

Governanceの欠如が問題視される企業が続発

winter-196339_960_720
ESG3項目のうち、特に欠如が問題視されやすいのがGovernanceだ。日本企業では統治が不十分で不正を引き起こしているケースが続発している。例えば、不適切会計問題に始まり、米原発事業の減損問題もあって事業の切り売りを余儀なくされている東芝は、Governanceが不十分だったと言えよう。

株価は大幅に下落しており、Governanceの欠如が投資家にも大きな損失をもたらしうることが如実に示された。近年では社外取締役を増員するなどして、Governance強化に取り組む企業が多い。投資家からGovernanceに関してより厳しい目が向けられる傾向を反映していると考えられる。

企業側はGovernanceに力を入れる姿勢を示すことで、不正を未然防止するとともに、社内の風通しを良くしたり、投資家からの信頼度を高めたりすることを目指している。

間接的なリターンが期待できる

road-1072823_960_720
企業がESG投資をしても、直接的な利益は得られない。しかし、間接的な利益にはつながることから、適切なESG投資を行うことが望ましいとされている。特に業績が思わしくない時期には、目先の利益を優先し、ESG投資を軽視しがちだ。

しかし、ESG投資を行うことでブランド力が向上すれば、中長期的な企業利益につながる。また、Environmentへの投資では、地球環境が保全されることにより、企業活動に支障が生じにくくなるメリットがある。日本でも、コーポレートガバナンスコードなどにより、ESGに対する意識を企業が高めることを促している。

投資家にとってもESGの視点を持つことは当然となりつつあり、ESG投資に対する意欲が低い企業は、目先の業績が好調であっても投資家から敬遠されやすくなっている。企業の取り組みに対して投資家が目を光らせる監視構造が出来上がりつつあり、今後ESG投資はさらに増加すると考えられる。

ESG関連銘柄が注目されている理由とは?

fallow-deer-984573_960_720
ESG関連銘柄は、日本版スチュワードシップコードや、コーポレートガバナンスコードが発表されたことにより、注目度を高めた。従来は利益との関連性が不明確だとして、ESG投資への評価は決して高くなかった。

しかし、近年ではESG投資を行うことが間接的に企業利益につながるとの考え方が勢力を拡大している。したがって、ESG投資に積極的な企業に投資家の資金が集まりやすい。投資家の動きも踏まえて企業側はさらにESG投資をする意欲が高まる好循環が見られる。

投資信託でもESG投資に着目している銘柄が設定されており、機関投資家、個人投資家双方の資金がESG関連銘柄に流れ込む環境が整っている。ESG投資に積極的な企業への投資は訴訟などのリスクが抑えられる点も考慮すると、今後も注目は続くと考えられる。

福ちゃん注目のESG関連銘柄

【2502】アサヒグループホールディングス(株)

東京都墨田区に本社を置く。
国内の飲料メーカー大手である。物流効率の改善をはじめ、環境に配慮した取り組みを進めている。飲料ビジネスでは良好な環境の下で製品を製造することが品質安定に不可欠であり、今後も環境投資を続けると考えられる。

【7201】日産自動車(株)

横浜市西区に本社を置く。
トヨタ自動車などと並んで国内大手自動車メーカーである。カルロス・ゴーン氏の経営手腕には定評がある。ゴーン氏からのトップダウン方式をとっており、日産ではガバナンス改善もあって思わしくなかった業績が改善した。

【6594】日本電産(株)

京都市南区に本社を置く。
積極的なM&Aで知られる企業である。モータービジネスでは国内外で不動の地位を築いている。社会インフラを提供する企業であるが、営利活動のみならずCSR活動などにもきちんと取り組んでいる。投資家からのイメージも良く、指標面では市場平均より割高な株価となっている。

【9532】大阪ガス(株)

大阪市中央区に本社を置く。
電力自由化に伴い電力小売り事業に参入するなど、事業の多角化を進めている。ガス供給により入手した豊富な顧客データをもとに、住まいの安心を確保するサービスを提供するなどして社会に貢献している。ガスはエネルギー効率が良い資源であり、環境面での貢献も評価できる。

【9005】東京急行電鉄(株)

東京都渋谷区に本社を置く。
関東の大手私鉄の一角である。ホテル事業など業績の多角化を図り、人口減少社会での生き残りを図っている。ESG投資に積極的な企業として東証から認められていることもあり、ESG関連銘柄としても注目されている。鉄道会社は沿線住民にとって身近な存在であり、ESG投資が自社のイメージアップにつながれば売り上げ増にも貢献し得る。

【3402】東レ(株)

東京都中央区に本社を置く。
合成繊維ビジネスに取り組んでいる。高い繊維技術を活用し、環境関連ビジネスにも取り組み始めている。自社が環境関連ビジネスに取り組んでいることもあり、ESG投資にも積極的である。直接利益に結び付きにくいESG投資だが、東レでは利益とESG投資の関連性が生まれやすいと考えられる。

【8001】伊藤忠商事(株)

大阪市北区に本社を置く。
「非資源No.1商社」を目指して活動している。三井物産や三菱商事といった資源ビジネスへの依存度が高い商社が資源価格下落に苦しんだ時期にも安定した業績を残し、一時は国内商社で利益がトップとなった。輸送距離を短縮する環境物流に取り組むなど、ESGへの意識も高い。

福ちゃんのまとめ

rise-1789903_960_720
ESG投資は中長期的な企業利益につながることが確認されつつある。投資先としてのリスクも下がることから、ESG投資への注目度は今後も高まりそうだ。