昨年後半から、個人投資家を中心として電線地中化関連銘柄が株式市場を賑わしている。これは、国策主導で無電柱化投資を推進していることに加え、東京都の小池百合子知事が選挙戦から公約の1つとして掲げており、今後大規模な社会資本投資が期待されるためだ。今回は、電線地中化を取り巻くニュースと注目の関連銘柄に注目して行こう。
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電線地中化とは

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電線地中化とは、電線を地中に埋設し道路上から電柱を無くすことを指す。電柱は従来から景観を損ねることから、問題視されており、国土交通省はなんと約30年前から電線地中化計画を作り景観確保などを訴えてた。

国土交通省によると、海外では、フランスのパリ、イギリスのロンドン、香港の全道路では無電柱化が100%進行、台北やシンガポールで90%超が無電柱化を行なっているのに対して、日本は東京23区で7%、大阪市で5%とアジアの主要都市と比較して大きく遅れをとっているとのことだ。

電線地中化が各国で推進されている理由として、歴史的建造物等の景観確保が挙げられる。また、大地震後に電柱が倒れることによる漏電による火災や、交通事故を削減することができるというメリットもある。こうしたメリットからこれまでも無電線化のニーズはあったが、嵩む工事費用や既存の電柱・電線所有権を持つ企業との合意に手間がかかることから民間主導では事態が進展しなかった。

国策主導で進む無電柱化

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無電柱化は、景観確保だけでなく、市民の安全確保、観光促進、都市計画など様々な分野に関連するというだけあり、無電柱化案は近年になって、国策として注目されている。昨年の12月には無電柱化推進法が成立、無電柱化に割く予算として2016年度は29億円確保されるようになった。

更に、東京都の小池百合子知事は、国会議員時代から無電柱化を推進していた人物の一人で、東京都の知事選の時も、無電柱化を公約として挙げていた。知事就任後も所信表明から無電柱化の推進に向けて17年度中の条例制定を目指すとしており、東京オリンピック開催に向けて都主導で電線地中化を主導する見込みだ。

既に今年に入り、電線地中化する場合の市区町村の負担を都が全額負担する方針を固めているほか、700億円の無電柱化推進基金を設置した。都の強力な推進力で、これまで電線地中化の妨げとなっていた企業に協力要請をしており、一気に動きが加速することが予想される。

電柱地中化関連銘柄が注目されている理由

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これまで無電柱化の阻害要因となってきたのは、多大な費用負担と既存の電柱・電線所有権を持つ企業との交渉だ。そんな中で、東京都はオリンピックを控えて、強力な資金力があり経済の中心として政治力も強いことから、小池知事が就任して無電柱化に力を入れ始めたことは大きな転換点だ。東京都を中心に国策として無電柱化が進められることで、こうした阻害要因が解消され、事態が一気に進展する可能性は高いと考えられる。

無電柱化には様々な方法があるようだが、東京都は費用や工期を考慮し電線共同溝方式が採用した。これは、道路に共同溝を作り電線を通すという方法だ。これにより、埋設管を扱う企業や、地中で使用できる電線を扱う企業が電線地中化関連銘柄としてマーケットでは注目されている。また、今年に入り、国交省が共同溝の整備だけでなく管理も民間に委託する旨を表明したことから、電線の管理企業も今後注目されるだろう。

福ちゃん注目の電線地中化関連銘柄

【4231】タイガースポリマー(株)

大阪府豊中市に本社を置く。
産業用ホースを中心に自動車部品用の成形品をあつかっている企業だ。主力の自動車部品の販売が好調で17年度通期の業績予想を上方修正しており、直近の株価は急上昇している。電線地中化関連銘柄としても注目されており、「ダイレックス」と呼ばれる地中埋設用ケーブルの埋設菅の需要が高まることが期待される。

【5289】ゼニス羽田ホールディングス(株)

東京都千代田区に本社を置く。
防災コンクリート二次製品が主力の企業だ。主力の防災製品が好調だ。同社は電線共同溝の「CCBOX」で既に実績を保有しており、電柱地中化関連銘柄の常連として注目されている企業だ。国交省が無電柱化に民間資金を呼び込むと報じてから同社の株価は跳ね上がっており、今後も報道内容に敏感に反応する可能性がある。

【5287】(株)イトーヨーギョー

大阪府大阪市に本社を置く。
コンクリート二次製品の中堅企業だ。マンホールから無電柱化製品まで扱っており、「小池銘柄」として小池知事就任後にストップ高をつけるなど電線地中化関連銘柄として注目が集まっている。同社は既に埋設物があるような場所でも地中化ができるようできるよう小型のコンクリート製ボックスを開発し地方自治体に宣伝するなど、コンクリ二次の中でも一歩進んでいる企業だ。

【5801】古河電気工業(株)

東京都千代田区に本社を置く。
電線の大手企業だ。世界有数の光ファイバーを主力し、技術を利用して事業の多角化を測っている。電線地中化に注力しており、地中に直接埋設しても腐食等が起きない特殊な電線の開発を行っている。今後の需要増加を見込んで企業投資も積極的に行っている。2月に発表した17年3月期第3四半期決算が好調で、電柱地中化関連で今後需要が増えることを含めると、まだまだ株価の上昇が期待できる。

【5805】昭和電線ホールディングス(株)

東京都港区に本社を置く。
東芝発祥の電線メーカーだ。インフラ系に強みを持ち、自動車や医療といった新分野にも積極投資を行っている。電線地中化関連の新報道のたびに株価の上昇が見られ、関連銘柄として注目されている。電線地中化のみならず、新分野の投資は概ね好調で、リニア新幹線に使われる電動材にも展開をしていることから、今後の堅調な伸びが期待できる銘柄だ。

【5815】沖電線(株)

神奈川県川崎市に本社を置く。
電線、フレキシブル基板、放電加工機用電極線というニッチな分野を主力に持っている。大容量化に特化した高速ケーブルを開発し、今後はロボット向けに販売予定だ。高機能化という点で差別化戦略を測っており、JAXAの宇宙ヨットに同社のフレキシブル基板が採用されるなど、技術力の高さが評価され、今後も堅調な収益状況が期待できる。電柱地中化ではその技術力の高さが買われる可能性もあり、要注目の企業だ。

【1944】(株)きんでん

大阪府大阪市に本社を置く。
関西電力系列で電設工事の首位だ。主力の電設は大型案件の受注により堅調な状況だ。同社は地中送電工事も多く請け負っており、配電設備の構築・維持を行なっている。国交省が無電柱化に向けて民間資金を活用すると発表したのち、株価が上向きに反応しており、電線地中化関連銘柄として注目したい企業だ。

福ちゃんのまとめ

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電線地中化は、これまで進展がなかった分野だが、東京都が強力に推進していることから、今年は大きく進展することが想定される。電線地中化関連銘柄は国策主導の大型案件受注の可能性が高いことから、株価の動きには要注目だ。