運送大手の佐川急便を抱えるSGホールディングスが、2017年中に東証1部への上場を目指して調整している。陸運業者大手ながら、近年は不祥事や、Amazonとの大口取引の解消などの動きが見られていた。上場を機に信頼度を高める狙いがあると考えられる。
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ネット通販伸長で物流量は増加

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インターネット通販市場が拡大を続けている。そのため、個人向け荷物の配送量が増加している。再配達が無料となっていることから、配達の手間も増しており、配達員の長時間労働が課題だ。物流量はさらに増えるとみられているが、配達員人材は不足している。

そのため、配達料金の引き上げ等を通じて、採算を確保できる体制を整えられるかが、今後、物流業者が業績を伸ばすうえでのカギとなるだろう。ネット通販の伸びは、インターネットやスマートフォンの普及に支えられている。物流業者もインターネットやスマホ向けアプリを活用し、業務の効率化を進めることが求められている。スマホアプリを利用した配送状況の確認サービス等の導入により再配達率を下げる取り組みが一例として挙げられる。

佐川は仕事の選別を早期から進めてきた

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作業員への過重な負担が問題視されている物流業界だが、佐川急便は仕事の選別を早期から進めてきた。2017年2月にヤマト運輸がようやく荷物の引き受け総量の制限に向けて動き出したのとは対照的だ。特に、ネット通販大手のAmazonの荷物を、採算が取れないとして配送取りやめとした佐川急便の決定は話題を集めた。

近年ではネット通販サイトでも全品送料無料サービスを見直す動きが見られる。ネット通販利用者が直接、配送料の一部を負担することによって、佐川を含めた物流業者の採算改善につながることも考えられる。とはいえ、佐川急便では昨年、作業員が荷物を不適切に取り扱った問題や、事故時の身代わり出頭問題などが発生した。さらに配送する荷物の選別を進め、従業員の処遇改善を通じてコンプライアンスの徹底を図る必要があると言える。

佐川急便上場関連銘柄が注目されている理由とは?

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佐川急便上場関連銘柄は、物流ビジネスが成長性を秘めているため、注目を集めている。現状では利益率の低い企業が多い業界だが、ネット通販市場の拡大によって需要が伸びていることから、利益率を改善できる可能性がある。日本では従来型産業の衰退傾向が見られるが、陸運業界については今後も成長の余地があるのだ。

さらに、佐川急便は近年、不祥事が相次いでいる。不祥事が発生したことは望ましくないが、陸運業者が抱える課題が、世間に広く知られることとなった。配達員に対する過重な負担の改善は、長時間労働の是正を目指す安倍政権の方針とも一致している。

したがって、ネット通販業者や荷物を受け取る顧客は、以前と比べて、配達料の値上げに同意しやすい環境にいると言える。佐川上場を機に各社が利益率の一層の改善に努めれば、業界全体の利益が底上げされる可能性があるのだ。

福ちゃん注目の佐川急便上場関連銘柄

【9064】ヤマトホールディングス(株)

東京都中央区に本社を置く。
日本を代表する陸運業者である。宅配便では国内でトップシェアを誇っており、佐川急便のライバルと言える。ヤマトは佐川と比べて多くの荷物を積極的に取り扱っているが、利益率の改善が急務である。佐川上場を機に競争力強化のための採算改善が行われることが期待される。

【9075】福山通運(株)

広島県福山市に本社を置く。
主として法人向けの宅配サービスを実施している。個人にはなじみが薄いが、法人向けビジネスでは安定した地位を築いている。佐川急便は個人向け貨物の取り扱いが多いことから、佐川上場により大きな打撃を受ける可能性は小さい。

【9076】セイノーホールディングス(株)

岐阜県大垣市に本社を置く。
路線トラックを「カンガルー便」の名称で展開している。個人向けのみならず法人向け運送も近年需要が高まっており、セイノーホールディングスの業績も順調である。佐川上場により陸運業界で人件費が高騰すれば業績への悪影響が懸念される。

【9062】日本通運(株)

東京都港区に本社を置く。
国内外で物流ビジネスに取り組んでいる。陸運が主だが、海運や空運も実施している。幅広い物流サービスを展開しているが、景気や資源価格の変動が業績に影響を与えやすい。佐川上場で物流業界への関心が高まれば、物流大手企業として日通にも資金が流入する可能性がある。

【4755】楽天(株)

東京都世田谷区に本社を置く。
国内ネット通販大手である。Amazonと並びネット通販ビジネスに取り組んでいるが、佐川に配送を断られたAmazonに対し、楽天では一部ショップ等で佐川の配送サービスを利用している。そのため、株主の目にさらされる佐川が採算改善に取り組めば、楽天における通販の配送料アップのリスクがある。

【3064】(株)MonotaRO

兵庫県尼崎市に本社を置く。
近年急成長している工具・間接資材等のネット通販企業である。中小企業や個人からの少数注文にも対応している点が評価されている。配送には主として佐川急便を利用しており、佐川急便の配送料体系が変化すれば、MonotaROの業績に影響する。

【4689】ヤフー(株)

東京都千代田区に本社を置く。
楽天やAmazonには劣るものの、国内ネット通販で一定の地位を築いている。ただ、2017年2月に発生したアスクルの倉庫火災に伴う影響が懸念される。物流業界全体で単価引き上げ努力が見られる中、ネット通販サイトとして配送料をいかに設定するかが課題である。

福ちゃんのまとめ

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佐川急便は上場によって多くの株主からさらなる利益率改善を求められることになろう。人材不足に伴う人件費高騰が課題である物流業界全体でも、配送料引き上げ等の取り組みが進行すると考えられる。陸運各社の採算が改善するのかどうか、またネット通販企業の業績にどう影響するのか、要注目だ。